TP-Link Archer C55 について
2017年頃に発売された802.11
a/b/g/n/ac対応のWifi5なルーターです。現在は終売なのでいまから手に入れるとしたらリサイクルショップかフリマサイトからとなります。
デュアルバンドで最安クラスであったため購入して長期に使用していました。有線WANポートがギガビットなのに4つあるLANポートは100Mbpsなのが残念な点ですが、当時は他メーカーでもよくある構成でした。
日本専売モデルであるためか、Openwrtのサポート対象に入っていません。
ググって手に入る情報を見るとOpenwrtがサポートしている「Archer C50
v1」と使用しているWifiチップなどのハードウェア構成が似ていると推察されたので、これのイメージファイルをインストールできないか試してみました。
[フォーラムで報告された情報]
https://forum.openwrt.org/t/openwrt-for-archer-c55-v1/81882/7
C50 と C55 の相違点
項目 | C50 | C55 |
---|---|---|
CPU | MediaTekMT7620A | MediaTekMT7620A |
Wifiチップ | MediaTek MT7620A, MediaTek MT7612EN | MediaTek MT7620A, MediaTek MT7612EN |
WANポート | 100M × 1 | 1G × 1 |
LANポート | 100M × 4 | 100M × 4 |
USBポート | USB2.0 × 1 | なし |
外部アンテナ | 2本 | 3本 |
Openwrt 適用手順
ルーターのWeb UI画面からC50用のsysupgrade.binファイルを指定してOpenwrtをフラッシュすることはできません。おそらくターゲットの機種名を確認して弾かれていると思われます。そのためTFTPサーバーからイメージファイルを送り込む手順を試してみました。
Openwrt公式ページの「Installation Using the TFTP method」ー 「v4 and
v5
instructions」を参考にTFTPでイメージファイルを送る方法で行いました。
手順書でLinuxの「dd」コマンドを使用する必要があるのでLinuxを使用して作業しました。
TP-Link Acher C50 Installation using the TFTP method
イメージファイルの入手
TP-Link C50シリーズ系のルーターはTFTPブートでOpenwrtのイメージを焼く場合、メーカー公式のファームウェアイメージとOpenwrtのイメージを組み合わせてファイルを作成する必要があります。
メーカー公式ファームウェアの入手
TP-Linkの公式サイトからファームウェアを入手します。経験的にメーカーはroot権やカスタムファームを嫌って対策しがちなので、一番古いバージョンの「Archer C55(JP)_V1_170512」をダウンロードしました。ダウンロードしたzipファイルを展開します
unzip "Archer C55(JP)_V1_170512.zip"
手順書に合わせてファイル名を変更します。
mv "Archer C55v1_0.9.1_2.1_up_boot(170512).bin" tpl.bin
Openwrtイメージファイルの入手
対象のルーターは「C55」ですがOpenwrtのサポート対象外のためハードウェア的に似ている「C50
v1」用のイメージを使用します。
「TP-Link Archer C50」にはバージョンがv1〜v5とありますが、それぞれ筐体も中身も全く異なりますので「v1」用のイメージであることを確認してダウンロードします。以下から「sysupgrade」のバイナリをダウンロードしました。
[Acher C50 v1 用Openwrtイメージ(sysupgrade)]
openwrt-23.05.4-ramips-mt7620-tplink_archer-c50-v1-squashfs-sysupgrade.bin
手順書に合わせてファイル名を変更します。
mv openwrt-23.05.4-ramips-mt7620-tplink_archer-c50-v1-squashfs-sysupgrade.bin owrt.bin
TFTP用ファイルの作成
参考にした手順では下記のように”FF”で埋めた部分を作成しますが、この手順を行うとイメージのフラッシュに失敗します。この手順を省くとうまく行きました。
※以下のコマンドは不要dd if=/dev/zero of=tp_recovery.bin bs=196608 count=1
TFTP用ファイルを作成するには下記の通りコマンドを実行します。
dd if=tpl.bin of=tmp.bin bs=131584 count=1
dd if=tmp.bin of=tp_recovery.bin bs=512 skip=1
cat owrt.bin >> tp_recovery.bin
”tp_recovery.bin”がTFTPブート時にC55ルーターが要求するファイルです。
TFTPサーバーのディレクトリにファイルを配置し、念の為TFTPサーバーを再起動しておきます。
sudo cp tp_recovery.bin /srv/tftp/
sudo service tftpd-hpa restart
TFTPブートとイメージのフラッシュ
IPアドレス設定
TFTPサーバーとなるPCのIPアドレスを設定します。
- IPアドレス : 192.168.0.66
- サブネットマスク : 255.255.255.0
※ルーター「C55」はTFTPブート時、IPアドレスは「192.168.0.2」で動作します。
ルーター「C55」の”LAN”ポートとPCをLANケーブルで接続しておきます(WANポートではありません)。
ルーター「C55」をTFTPブート
ルーター背面にあるリセットボタンを、伸ばしたゼムクリップなどで押しながら電源を入れます。リセットボタンを押し続けたまま起動するとTFTPブートするので電源ボタンONの後7秒間ほど経った後にリセットボタンを離します。TFTPブートが実行されるとTFTPサーバーから”tp_recovery.bin
”をダウンロードして自動的に適用されます。
Openwrtイメージのフラッシュには時間がかかります。
無事にイメージがフラッシュされるとOpenwrtが起動し、DHCP機能も有効になるのでPCのIPアドレスを自動取得にしてしばらく待つのがよいと思います。
PCのIPアドレスが192.168.1.Xに設定された時にOpenwrtの実行が成功したと判断できます。
「C50
v1」のOpenwrtイメージをフラッシュした「C55」はどこまで機能が正しく動作するかまでは確認していません。
私の環境ではPCに有線接続し、既に稼働しているWifiルーターの子機として、Wifiコンバーター的な使用しています。
設定は以上です。
追記
C50用のOpenwrtイメージを書き込んだC55では残念ながら有線WANポートは機能しませんでした。 C50の有線WANポートは100MのFastEthernetですがC55ではGigabitEthernetとなっています。 外装を外して基盤を確認したところ「Athros AR8035-A」というチップが追加されているようでした。 おそらくソースコードを修正したOpenwrtイメージが必要と思われますのでWANポートの動作は諦めました。
参考画像
Archer C55 内部 |
MT7612EN(SOC?,CPU?) |
AR8035-A(WAN用Ethernetコントローラ?) |
プロダクトシール |
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